Maria del Mar Bonet (マリア・デル・マル・ボネット)とスペイン国立ダンスカンパニー
朝食後、テレビを消しかけようとしたちょうどそのとき、
スペインTVE1チャンネルで、ある特集が始まった。
何やら芸術的な雰囲気と心地よい音楽に、ふと目を見張る。
と、そこに現れたのは振付師Nacho Duato(ナチョ・ドゥアト)。
(Photo from here/写真元のリンク)
彼による映像紹介の後、スペイン国立ダンスカンパニーによる
舞台『Arenal(アレナル/砂原)』の公演映像が流れ始めた。
踊りや振り付けはもちろんだが、音楽がまた素晴らしい。
砂浜で水平線を眺めながら、喜びや悲しみが溢れ出してくる。
すると、大海原に舞うヴィーナスが抱きしめてくれる。
そんな感覚を呼び起こす声の持ち主、それは
カタルーニャ語でフォークソングスを歌う歌手、
María del Mar Bonet(マリア・デルマル・ボネット)。
以下に、You Tubeで見つけた多くの映像の中から春のダンスという彼女の持ち歌をリンクしてみた。
どうか聞いていただきたい。
- La Danza de la Primavera
ラ・ダンサ・デ・ラ・プリマベーラ
春のダンス
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リンク:
コンパニーア・ナシオナル・デ・ダンサ・デ・エスパーニャ
スペイン国立ダンスカンパニー
(彼らのレパートリーも、一部閲覧可能となっている。)
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以下は『春のダンス』の歌詞です。
(オリジナル及びスペイン語版の歌詞は個人ブログサイトLa Vida es Bellaより引用しました。歌詞画像が小さくて見えにくい場合はそちらのリンクを開いてご覧ください。Anikoによる和訳歌詞のみ、画像の下に貼り付けておきます。
Danza de la Primavera
※左:オリジナル歌詞(カタルーニャ語)、中央:スペイン語、右:スペイン語からの和訳(Aniko私訳につき悪しからず)。
春のダンス
二月の便りがやって来た
リラの花よ この指に咲け
椰子の樹木よ 心に育てと
なんてわがままな春の訪れ
なんてわがままな春の訪れ
悲しみに病む私の心
焚き火にされるのを恐れてる
春の魔法は解(ほど)けない
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春の魔法は解(ほど)けない
枝を広げ 春と踊ろう
ほどいた髪を 風になびかせ
毎宵の月を歌おう
毎宵の月に歌おう
秋色の砂を歌おう
初雪の静けさを歌おう
春がまた訪れるなら 悲しみの愛を歌おう
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春がまた訪れるなら 悲しみの愛を歌おう
生まれ変わろう せめてそう試みよう
少しずつ育とう 季節が変わるごとに
新たな種を 風に乗せて舞おう
新たな種を 風に乗せて舞おう
辿り着くのは人知れぬ場所
古の大地の真ん中か
海底に芽を出し 伸びてゆこう
---
二月の便りがやって来た
リラの花よ この指に咲け
椰子の樹木よ 心に育てと
なんてわがままな春の訪れ
なんてわがままな春の訪れ
悲しみに病む私の心
焚き火にされるのを恐れてる
春の魔法は 解(ほど)けない
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訳後記:
この歌の語り手が誰なのかはっきりしない、春という季節と焚き火のつながりが良く分からない、などのコメントをもらいました。
そうですね、わたしも最初、スペイン語訳を読みながらいろいろな疑問がありました。
一番の歌詞で、春が来たのに、どうして悲しいのか。焚き火で燃やされてしまわないかと不安が原因のようですね。
理解のポイントは季節の移り変わり、つまり時の経過にあると思います。
焚き火で燃やされるってことなので、語り手の主体は樹木かと想像できますね。そうすると分かりやすくなります。
焚き火にされる樹木は、乾燥してて燃えやすい、年輪を重ねた古い樹木ですね。若くて瑞々しい樹木は焚き火にはできませんから。ということは、語り手である樹木、それもきっと椰子の木が、春が来ることの喜びと、老いていくことの不安との両方の気持ちを歌っているのだと思います。
花を咲かせなさい、木を育てなさい、と生命の循環を急き立てる春。それに応えるようにして、新しい種を風に乗せ、地球の果てにでも海のそこにでも新しい芽を開かせようという希望を抱く樹木。
いずれは枯れて散る人生。そうなる前に次の命を育もうとする樹木の心境が、喜びと憂いに満ちた素晴らしい音楽に乗せて描かれているんですね。
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