あんたたがたはね、
御先祖(うやふぁーふじ)ぬちゃーんかい
見守(みーまんてぃ)うたがみそーちくぃみそーちゃるぐとぅ、
ぬーん心配(しわす)くとぅ ねーらんどぉ、
だぁだぁ んみぃくとぅ たぁがぁ生(んー)だん、
んみぃくとぅ たぁがぁ生(んー)だん・・・
魔除けの唾がついた
じゅんぐりむっくりした中指を
みなの額に押し付ける祖母が
口ずさむのを面白がって口真似をした
んーみーくーたーたーがーんーだん
んーみーくーたーたーがーんーだん
それから好き勝手に祈り続ける
まぶやーまぶやー
まーまのふちくる カモン カモン
日曜の夜はいつもあっという間に更けて
子どもたちは眠気に目をこすり
大人たちは明日の仕度に気をとられ
はっさ、今日は急いでるからいーってばー
なぁとぉとぉ、待ちなさい・・・
小柄な体を左右にゆすりながら
小走りにつっかけを履いて玄関の先に急ぐと、
サランラップで包み輪ゴムでしっかりとくくられた
島塩(まーす)のお団子に
庭のムーチーの葉をそそくさと結んだサンを
いつも必ず持たせてくれた
夜更けの門の前
私たちを乗せた車が見えなくなるまで
見送ってくれるばあちゃんに
バイバーイ、バイバーイ!
角を曲がりきるまでしきりに手を振る
窓明かりにぼんやりと照らされて
そこにちょこんと
佇む影
隣の空き地の夜風にそよぐ
ススキはさらさらと
向かいの森に染み渡る
山猫の寝息はすやすやと
坂道を下る溝(どぶ)の
おたまじゃくしはいずこへと
猫屋敷のおばちゃんの
生垣にこんもり実をつけた
琵琶どろぼうの生傷はうっすらと
もう小麦色ではなくなった肌にやんわり
古(いにしへ)の記憶をたどるように
いっぺーにふぇーでーびる
いっぺーにふぇーでーびる
祈りの言葉だけが
いつまでも脳裏に木霊する

**

わんにん、なまや、
うちなぁぐちぇーうほぉくあびららん。
昔(んかし)ぬ記憶だけが頼りやいびぃる。
我んねぇ、どーぅーぬ言葉(くとぅば)や
ぬーんあびらりんむんぬ、
オランダーぬ言葉んかい思(うみ)はまてぃ
来(ち)ちょーいびーたん。
あんやしが、
大和口しぇ「一念発起」んでぃるぐとぅ言葉ぬあいびーぐとぅ、
ひっちーはっちーまちげーるくとぉーんあいびぃんどぅんしぇえ、
とにかくどぅーぬ言葉今日(ちゅ)ぬ明日(あちゃー)から
むる習ちょおんでぃ思(うむ)やびぃん。
あんすぐとぅ思(うむ)やーに、
わんねぇ、毎朝(めえあさ)、
うとぅぬ出勤し出(ん)じちぇーる時なかい、
天国ぬターリーまたひーんめーんかい
からたがふう見守(みぃま)んてぃ
うたがみそーちくぃみしぇーびーるぐとぅ
御願(うにげ)ぇさびら、
御願(うにげ)ぇさびら、
んでぃち 、手(てぃー)うさーそーいびーん。
あんし朝夕想(うむ)い込みやーに
てぃーうさーし行ちどぅんしぇえ、
必じ実成(みぃなゆ)んでぃ思(うむ)やびん。

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間違いだらけの沖縄口で恥ずかしいのはやまやま。言葉である以上、自分の言葉でも使わなきゃ忘れてしまうのは仕方がない。ならばどんどん使って、あっちこっちつっかえひっかえずっこけながらも、少しずつ上達していけたらと思う。分かいみしぇーるちゅぬちゃーや、我んにんかい手ほどきし習てぃ取らしくぃみそーらんがやーんでぃ思ちょおいびぃくとぅ、ゆたしくう願ぇさびら。