T. E. Hulmeの詩

The flounced edge of skirt, recoiling like waves off a cliff.
トマス・アーネスト・ヒューム(Thomas Ernest Hulme)


この作品の和訳がネットでは見つからなかったので、自分で訳してみました。

直訳:
スカートのひだ飾り 絶壁に巻き返す 波のよう
俳句風にアレンジ:
ひだ飾り 巌(いわお)に砕ける しぶきかな

スカートのひだ飾りのゆらめきと
崖に打ち返す波しぶきという
二つのイメージを並列させることで、
それぞれが単独では存在し得ない
新しい世界の見方が創造されている。


この二つのイメージに磁気を与えたのは詩人の感性で、
詩人を介して新しい磁界が生み出されたような感じがする。


それにしても、
前半のスカートのひだは女性的な緩やかさと神秘的な魅力を連想させるのに、
後半は絶壁(Cliff)という言葉の険しさを印象つけている。
どうしてヒュームはそうしたんだろう?


真ん中のrecoilingという現在進行形の動詞が
両者のイメージバランスを調和させているみたい。
それはスカートと波のどちらにもマッチする単語であり、
イメージの移り変わりをスムーズにしている。
またその語感には遊びがあり、
ヒュームの遊び心が垣間見れらる気がして、
アーネストなヒュームさんってどんな人だったのかなぁ
などと好奇心をそそられる。
・・・美男子でさりげなく色男であることを
期待するのは私の下心の現れか。


そうそう、
スカートと崖に打ち返す波。
私が連想するのはちょうど、
東宝映画で性的な場面をカモフラージュするときに使われる
波しぶきの映像で、
これと男女の体が交じり合うイメージは
一件なんのかかわりもないけれど、
愛情と波の高まりがそこでシンクして、
生の裸をみるよりずっと胸に染みる。
これがパターン化するとパロディーに使われちゃうんだけど。
しかも波という言葉に濡れた感覚を連想するから
余計にそっちの方向に想像が働いてしまうのかも。


ヒュームの世界観と私の勝手な連想を結びつけるのは
ちょっとおこがましい気がするので
別の解釈もできないかなぁと
天井を見上げても、
白地のコンクリート
何も語りかけてくれない。


詩心って、

神秘だなぁ。