ドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャを自分で訳してみる。

   数年前に牛島信明氏の邦訳を読み感銘を受けたこの作品。今はカテドラ出版のスペイン語テキストを読んでいます。これが、面白くてたまんない!というわけで、いくつもの巨匠の邦訳テキストが出ているにもかかわらず、お気に入りの部分を自分で翻訳してみたいと思います。
   既存の邦訳テキストがあるのにどうして敢えてこのような無謀な挑戦をするのかといえば、邦訳を持ち合わせていないから、という単純な理由ですが、逆にそれを励みにちょこちょこ訳していくつもりですので、こなれた日本語訳をお探しの方にはお勧めできませんが、「青臭い文章でも多少ぎこちなくてもいいよ」という方や、「翻訳プロセスの四苦八苦を他人行儀で眺めてみたい」という方はどうぞご覧になってみてください。
   尚、翻訳の方法としては有限会社ピエのアースさんとピーチさんの「直練りメソッド」を意識しながらも、翻訳の試行錯誤プロセスまでメモ風に記していく方法を取ります。そうすることで、一見簡単そうな文章でも工夫が必要だってことの認識を自分なりに深められればと思ってます。
   また、主な使用辞書は『現代スペイン語辞典』です。

  • 第3部15章より

Sucedió, pues, que a Rocinante le vino en deseo de refocilarse con las señoras facas, y saliendo, así como las olió, de su natural paso y costumbre, sin pedir licencia a su dueño, tomó un trotico algo picadillo y se fue a comunicar su necesidad con ellas.

    • まずはスペイン語の文章構造が透けて見える直訳にトライ。
      • 単語
        • facasは16世紀のスペイン語で語頭のfが未だ残っていた時代が反映された単語ですが、現代スペイン語ではjacasと同義語。
        • tomó un trotico algo picadillo:Trotoというのは馬術で速歩、トロット、という意味で、「少しばかり、それとなく(algo)小刻みな、スタッカートのきいた(picadillo)足取りで」という表現とあわせて使われています。
      • 直訳
        • 「さてさて、ロシナンテは雌馬婦人方と破廉恥な喜びを分かち合う衝動に駆られたところで、(雌の匂いを)嗅ぎつけた途端、飼い主の許しももらわずにいつもの慣れた歩調でとっとこと小刻みな早歩きで出かけ、彼女らとの(行為を持ちたい)欲求を伝えに赴いた。」
      • 感想
        • ありゃりゃ、なんだか啖呵を切った割にはいきなり躓いてしまいました。この文章をちゃんと理解できているつもりでいた自分に反省・・・この先が思いやられますな、とほほ。でもガンバルンバ(←って古くない自分?)いつかこのAniko訳を邦訳テキストと比較するのが楽しみじゃ。

(つづく)